太郎
夏の終わりに、19年間一緒に過ごした猫が死んだ。
名前は太郎。
初めて我が家に来た猫で、とても穏やかな猫だった。
オカンが拾ってきたその猫は、体は蚤だらけ顔は目ヤニと皮膚病が酷く、
「また、すごいの拾ってきたね...」と、思わず口にするほど薄汚れた猫だった。
時間が経つにつれ、皮膚病と同時に腫れも治まり、どんどん可愛らしくなってきた。
既に我が家に居た犬とも仲良くなり、犬と一緒に寝たり、日だまりでぼーっと過ごしている光景が日常になってきた頃には近所でも人気の猫になっていた。
まぁ、愛想というか、外面のいい猫だったせいもあったのですが。
太郎が来て、5年程経った頃、裏庭で産まれた野良猫を2匹引き取った。
内訳としては、親元を離れず巣立てなかったどんくさい猫と、
あまりに不細工で可哀想だからという猫を、オカンが引き取ったように思う。
今思うとひどい理由だ。
新顔達が混ざり、我が家は動物屋敷の様相を呈した訳ですが、
太郎は我関せず、だらだらと過ごし、よく食べ、家族以外には愛想をふりまき、
他2匹の兄弟喧嘩後にそれぞれの毛繕いをし、犬が死んだ時には傍らで寝る。
病気に悩む事もなく、寝込む事もなく、静かに逝ってくれて良かった。
あの世を信じる質ではないけれど、向こうでも穏やかに過ごして居て欲しい。
